プロレーサーの夢破れ、19歳で選んだ道。バイクと共に歩む人生
- harebarenakamura
- 3月28日
- 読了時間: 5分
更新日:4月1日

長崎県にある2代目・豊永達也氏が代表を務めるバイクショップ。父の代から続く地域密着型店舗で、新車・中古車販売や修理に加え、キッズスペースも完備。近年はレンタルバイクや初心者向け走行会など、顧客と共にバイクライフを楽しむきっかけ作りにも力を入れている。気軽に立ち寄れる雰囲気が魅力。
■プロフィール
豊永達也(とよながたつや)
1982年生まれ
長崎県
株式会社トヨナガオートハウス 代表取締役
自己紹介と、お店について教えていただけますか?
はい、株式会社トヨナガオートハウスの代表をしております、豊永達也です。今年で42歳になります。
この店は父の代から始まり、2年ほど前に代表を交代し、私は2代目になります。1階は主に250cc以上の大型バイクの新車や中古車を展示しており、修理の受付や販売契約などもこちらで行っています。
2階にはスクーターなどを展示しているほか、お子様連れのお客様にもゆっくりバイクを見ていただけるように、キッズスペースも設けています。この場所に移転してきて、今年の3月で丸5年になります。
バイク歴で言えば、小学校の頃からモトクロスをやっていたので、もう30年以上になりますね。気づけば家にバイクがある、そんな環境で育ちました。


小学校の頃からバイクに乗られていたとのことですが、どのような環境で育ったのでしょうか?
私が生まれた時から父がバイク屋を営んでいました。しかも、お店の入口がそのまま家の玄関だったんです。お店の奥に自分たちの居住スペースがある、文字通り「バイク屋が家」でしたね。だから家に帰るというより「店に帰る」感覚でした。
大学生の頃、夜中にバイトから帰ってきて店のシャッターを開けて入っていたら、パトカーに職務質問されたこともあります。「何してるんですか!」「いや、家に帰ってるだけですけど…」みたいな(笑)。泥棒と間違われたんでしょうね。
友達や彼女を連れてくるのも「家に呼ぶ」というより「店に行く」みたいな気軽な感じでした。兄が小学校に上がる頃には、店の一部を改装して僕らの部屋を作ってくれました。プライベート空間はほぼなかったですが、それが当たり前でしたね。

プロのモトクロスレーサーを目指されていた時期もあったそうですが、詳しく 教えてください。
モトクロスを始めたのは、先にやっていた兄を見て「兄ちゃんだけずるい!」と思ったのがきっかけです(笑)。
小学校の頃から、父たちが練習していた野母崎のコース(今でも「軍艦島が見えるモトクロスコース」としてあります)によく連れて行ってもらい、練習していました。自転車に乗るような感覚で、特に怖いとは思いませんでしたね。
当時はプロになりたいという気持ちもありましたが、だんだん自分では勝てないと感じるようにもなりました。一応、プロの一歩手前の「国際B級」というライセンスまでは取得したんですが、19歳、大学1年生の時にレース中の転倒で左肩を脱臼してしまったんです。それが3回目か4回目の脱臼で…。その怪我もあって、本格的なレース活動からは離れることになりました。

レースの道を離れた後、家業を継ぐまではどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?
実はレースをやっていた頃も、家業を継ぐことはあまり考えていませんでした。大学では船関係の勉強をしていたんです。
長崎なので造船関係への就職も考えましたが、大学4年生で真剣に進路を考えた時、「やっぱり自分はバイクが好きだな」と。そんな時、スズキの営業の方から、バイク屋などの後継者を育成するスズキの研修制度があると教えてもらったんです。
給料をもらいながらスズキで勉強できるというので、「ぜひ行きたいです!」と。入社後は静岡の工場で車の製造ラインを経験し、その後大阪で3年間整備を学び、さらにスズキの直営販売店で2年間営業を経験しました。営業の仕事が面白くなってきたので、その後、縁あって大手バイク用品店に転職した際も営業職を選び、3年間勤めた後、長崎に戻って家業に入りました。
近年、バイクに乗る人は減っているとも聞きますが、現状をどう見ていますか?
確かに、バイクの販売台数はピーク時の1/10以下になっていますし、乗る人も減っているのは事実です。でも、バイクが本当に好きな人は今も変わらず好きでいてくれます。そういう方々と長くお付き合いしていくことが大切ですね。
また、私たちバイク屋自身が、もっとバイクを楽しむ姿勢を見せる必要があるとも感じています。好きで始めた仕事なのに、忙しくて乗らなくなってしまうのは良くないですから。
お店としては、お客様にバイクを楽しんでもらう「きっかけ作り」を意識しています。例えば、昨年からレンタルバイクを始めました。「まずは乗ってみて、気に入ったら購入もどうぞ」というスタンスです。
乗って気に入ってそのまま購入される方も結構いて、レンタル用のバイクがどんどん売れてしまうくらい好評です(笑)。
また、他のバイクショップさんと合同で、初心者向けのサーキット走行会を企画したりもしています。仕事としてだけでなく、私たち自身も楽しみながら、お客様と一緒にバイクライフを盛り上げていきたいですね。

豊永さんが考えるバイクの魅力とは何でしょうか?また、お店に興味を持った方へメッセージをお願いします。
バイクの魅力は、五感で自然を感じられることだと思います。車だと気づかないような、海の潮の香りを感じたり、風の温度を肌で感じたり…。
もちろん、暑さ寒さもダイレクトに感じますが、それもまた仲間との共通の思い出になります。「あの時のツーリング寒かったよね!」とか「暑すぎて途中で引き返したよね」とか、そういう会話ができるのもバイクならではです。
同じ場所に行くにしても、車よりずっと記憶に残る体験ができると思います。
お店は、予約などは特に必要ありません。「ちょっと見に来ました」くらいの気軽な感じで、いつでも立ち寄ってください。バイクの話はもちろん、全然関係ない話でも大歓迎です(笑)。
レンタルバイクもやっていますので、興味のある方はウェブサイトで「モトバイクレンタル」と検索していただくか、直接お店にお電話・ご来店いただければ対応します。まずは気軽に遊びに来てください!
隣にお寿司屋さんもあるので、食事ついでにでも寄っていただけたら嬉しいです。
株式会社トヨナガオートハウス SBS長崎 〒851-2103 長崎県長崎市時津町元村郷855-1
代表者 豊永達也
☎︎ 095-865-7424
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